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身近な相談相手、弁護士を選ぶ時の留意点

弁護士を選ぶ時の留意点

身近な相談相手=弁護士

日本の中小企業では、顧問弁護士を依頼してる企業はまだ多くありません。弁護士に相談するような事件はない、と考えている経営者も多いと思いますが、JSAの法律相談事例を見ると、予期せぬ突然の豪雨災害のように、いつ何どき問題が起きるかわかりません。そこで、弁護士に相談する必要が生じた場合、どのようにすれば良いか、また弁護士を選ぶ場合、どのような留意点があるかをご紹介します。

相談の準備

事件や発生した問題を解決するには、弁護士に正確に状況を説明することが第一です。起きた問題を説明するためには、漏れや勘違いがおきないように、まずメモすることが一番です。文書にまとめる必要はなく、発生した問題の状況を日付順に箇条書き程度のメモで結構です。そして説明を裏付ける資料や証拠物がありましたら用意してください。合わせて、会社の業務内容、従業員数等の会社の概要もあれば用意すると良いでしょう。

最近の相談事例

最近の従業員に関する相談事例を紹介します。
・経営幹部であった社員が退職して同業会社を設立、自社の取引先を奪った。
・経営が思わしくなく、2ヶ月以上前に解雇通知をしたつもりが、従業員にその認識がなく、解雇予告手当を要求してきた。
・解雇した元従業員が、労働組合に駆け込み、残業代未払を請求してきた。
・依願退職をした元従業員が、有給を消化して円満退職したはずが、退職金が少ないとして、弁護士を立てて請求してきた。

このような問題が生じたら、状況をできるだけ正確にメモすると同時に就業規則、雇用契約、タイムカード、給与支払い台帳、従業員とのメール記録など、関係する資料があれば、用意してください。経営者は、問題の発生だけに気をとられ、弁護士との面談時に意外と忘れるケースがあります。客観的な事実資料があれば対応の幅が広がります。

しかし、相談する弁護士に経営者の思惑で事実関係の全てを開示しなかったり、関係する資料を出さなかったりすると、良い結果が得られないだけでなく、余計に時間をとられる可能性があります。ここは、全てを出して専門家の判断を仰ぐ方がよいでしょう。

弁護士との面談

弁護士は、依頼者から事件の説明を聞き、資料を見て事実関係を確認した後、法的要件に照らして見解や対応方法を詳しく説明してくれるはずです。その説明が納得のいくものでしたら、その弁護士に弁護の依頼を決めると良いでしょう。

そこで、弁護士の依頼者に対する対応の仕方です。事件によっては結論や対処方法が決まっている場合もあると思いますので一概に言えませんが、弁護士が詳しい説明をせず「この事件は勝てそうだ。おまかせ下さい。」とか「これは無理ですね」とか、見解や結論を言って、その理由を十分説明しない場合や、依頼者が時間をかけて説明しても「調べておきます。結果をご連絡いたします。」という回答だけでしたらでしたら、他の弁護士にも相談すべきかと思います。

弁護士は、全ての法分野に精通しているわけではありません。経験のない事件は具体的な説明は難しい場合があると思われます。説明が分からなければ遠慮なく質問をしてください。この面談を通して、弁護士の経験値やどのように対応して頂けるかを確認することができます。また、人柄や信頼度、解決の期待度がわかるものと思います。

見積りをお願いする

最後に弁護士報酬の確認です。よく弁護士報酬がわからず、依頼するのを躊躇するとの声が聞かれます。現在の法律事務所では、弁護士報酬規定を開示し、見積書を出します。遠慮なく見積書をお願いしてください。弁護士報酬は、日弁連が公表する標準報酬を参考する事務所が多く、法律事務所によって大きな違いはないと思いますが、独自の報酬規定の事務所もあるので、依頼にあたっては見積書をお願いし、確認の上事件の依頼をする方が確実です。
一般的に弁護士報酬は「着手金」+「成功報酬」となりますが、事案の内容によっては、「時間課金制の報酬規定」もあります。

契約をする

弁護士の説明が納得でき、弁護士報酬も了解でしたら委任契約して、着手金をお支払いし、事件に着手していただきます。以後事件は、依頼者の代理人として弁護士が交渉と対応の窓口になります。

ここで、評判のが良いとされる弁護士の弁護士活動をご紹介します。それはなにかというと「報告」です。相手方との交渉結果や公判の結果は、良くも悪くも、いち早く知りたいのが依頼者の心情です。評価の高い弁護士は、事件対応の節目節目に、また途中経過でも、いち早い報告を心がけています。ここが、依頼者が弁護士を評価するポイントの一つのようです。弁護士に事件を依頼する場合、事件対応の報告について、よく弁護士に確認しておくのも良いでしょう。

その他、依頼者について

最近、依頼者の傾向として耳にすることは、他の法律事務所と相見積を取って、少しでも安い方に流れる傾向にあるというこです。弁護士の法律サービスは、物品を買うのと違います。弁護士の経験や手腕、熱意によって結果が大きく異なる場合が往々にしておきます。単純に見積り金額を比較するのではなく、弁護士との面談時に感じた信頼度を評価ポイントに決めた方が良い結果が得られるものと思います。

弁護士の紹介について

弁護士を探す際の問題点

かつて弁護士が少ない時代には、弁護士は、紹介者がいないと受任しない人が多いと言われたことがあります。それは、飛び込みの依頼者は、問題のある、人物や反社会的組織の依頼者など、素性がわからず、後で問題が起こる可能性を懸念するからです。弁護士は、いかに良い紹介者を多く持つか、事務所繁盛のみなもとと言われています。このことは、現代でも基本的には変わりません。ただし、紹介については、次のような問題もあると考えておいた方が良いでしょう。

医師では、内科、小児科、脳外科等の診療科が明確ですので、患者は診療科を間違うことは少ないと思います。弁護士は、資格として全ての法律業務に対応できます。ですが、全ての法律業務に精通し、経験を積むことは難しいと言わざるをえません。当然、得意の法分野、経験のない法分野はあります。現在では、インターネットのホームページで得意分野を公表している弁護士が多くなりましたが、あくまで自己申告です。特に、専門性の高い医療過誤事件や知的財産権事件は、専門領域の知識がないと弁護が難しいと言われます。ところが時に、弁護士が未経験業務を受任して、問題になるケースがでます。

問題を抱えた依頼人が、知り合いの経営者から良い弁護士と紹介された場合です。紹介者にとって自分の問題解決をしてくれた良い弁護士であっても、依頼者の事件について経験がない場合です。十分対応可能な事案であれば問題はないと思いますが、事件内容の説明を聞いた弁護士が、「その件は、経験がないので、その法分野に経験のある弁護士を紹介しましょう。」と言ってくれれば見識のある素晴らしい弁護士です。しかし、「〇〇さんの紹介ですから、経験はありませんが、なんとかお引き受けしましょう。」と言われてしまうと、依頼者は困惑するでしょう。

弁護士の賢い利用方法

現在、弁護士は増加していますが、仕事量はそれほど増加していないと言われています。そこで、仕事があれば受任をすることを優先する可能性もあるということを理解しておく必要があります。相談した弁護士の対応に違和感があったら、率直に断るか、見積書をもらい確認してからと言えば角が立たないと思われます。

JSAの「法務支援サービス」の仕組み

当事務所が、加盟しているJSAでは、弁護士会員の得意分野を2分野とその他の取り扱いの法分野を登録して頂いております。経営者の皆様から法律相談の依頼がありましたら、弁護士会員の中から、該当の法分野に登録している弁護士を選任して対応して頂きます。このため、経験のない弁護士が対応するというミスマッチが起こらない仕組みです。また、JSAの弁護士の平均開業年数は15.8年ですので、経験豊富な中堅の働き盛りの弁護士が揃っています。法律相談は1時間無料ですので、事件の大小を問わず、ご相談ください。

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